(PR)
クレジットカードのポイント高還元率維持は困難
以前は、クレジットカード利用で獲得できるポイントは多かったのですが、近年、少しずつポイント還元率が低下しています。
サービス内容の改悪だと批判されることがありますが、健全な事業運営を行おうとすると、クレジットカード利用に対して多くのポイントを発行できない現実があります。
イシュアフィーには限界がある
カード発行会社(イシュア)が得る収益は、カード会員がクレジットカードを利用して買い物をした時に発生する加盟店手数料の一部です。したがって、健全性の観点からポイント還元率はイシュアフィーの範囲に限られます。
イシュアフィーを超える高いポイント還元率にすると、全てのポイントが使用された場合に赤字になります。そのため、ポイントを高還元率にする場合には、ポイント有効期限を短くする、最低利用ポイントを高く設定するなどして、カード会員がポイントを利用しにくくしなければなりません。しかし、このようなポイントプログラムは、カード会員に受け入れられないでしょうから、ポイントを使いやすくし、還元率を低く抑える必要があります。
会計基準の厳格化
ポイント発行に関する会計処理が厳しくなりつつあることも、ポイント還元率を低くしています。これまでは、ポイントが消化された時に売上値引きとして会計処理できましたが、収益認識に関する会計基準の公表により2021年4月1日以降、ポイントを発行した時に売上からポイント分を差し引いて売上計上しなければならなくなりました。
したがって、企業の損益計算書上の売上の計上時期が遅れることから、売上と利益が今までよりも少なくなる可能性が高く、ポイント還元率を低く設定しないと、カード会社の財政状態と経営成績が厳しくなります。
消費者金融の規制
消費者金融の規制の強化も、ポイント還元率の低下の原因になります。
クレジットカードでのキャッシングでも、金利の上限が厳しくなっていますし、年収の3分の1までしか貸し出せなくなりましたから、カード会社がキャッシングから得られる収益は以前よりも減っています。
したがって、消費者金融の規制強化前よりも高率のポイント還元は、今後、クレジットカードでは期待できません。
このようにクレジットカード業界は、以前よりも厳しい環境となっていますから、ポイント還元率は今後も改悪されていく可能性があります。ポイント還元率の高さは魅力的ですが、それだけを理由にクレジットカードを申込むと、将来、ポイント還元率が引き下げられた時にまったく魅力のないクレジットカードになってしまいます。
したがって、1枚目のクレジットカードを作る際は、ポイント還元率以外のサービス内容も十分に検討しましょう。