(PR)
クレジットカード払いは買掛金計上か未払金計上か
株式会社などの法人でも個人事業主でも、事業のための支払いをクレジットカード払いにすると、物品の取得や費用の計上と実際の支出とが期間的にずれます。1ヶ月分のクレジットカード利用額を翌月に銀行口座から振替で決済すると、資産の取得や費用の発生が先、クレジットカード利用額の決済が後となります。
発生主義で記帳する
クレジットカードでの資産の取得や経費の支払いを行う場合、クレジットカード利用額が銀行口座から引き落とされた時に帳簿に記入する現金主義会計もあります。しかし、株式会社などの法人の場合は現金主義会計は認められていません。また、個人事業主でも青色申告している場合には発生主義で記帳しなければなりません。
そのため、クレジットカードで資産の取得や経費の支払いをした場合には、資産の取得時や経費の支払い時、クレジットカード利用額の決済時の2回、帳簿に記入する必要があります。
例えば、4月10日にクレジットカードで仕事に必要な文房具を1,000円で購入し、5月26日に銀行口座からクレジットカード利用額の引落しがされたとします。この場合、4月10日と5月26日の2回、帳簿に記入しなければなりません。
4月10日の会計処理
- (借方)
消耗品費 1,000円 -
(貸方)
未払金 1,000円
5月26日の会計処理
- (借方)
未払金 1,000円 - (貸方)
預金 1,000円
未払金は、資産の購入代金や経費の支払いを後払いにした時に計上する負債科目です。未払金と同じように支払いを後払いにした時に負債に計上する勘定科目に買掛金があります。
未払金と買掛金はどう違うのでしょうか?
主たる営業品目の仕入かどうか
代金を後払いにした場合に負債に計上する勘定科目を未払金にすべきか買掛金にすべきかは、その支出の目的が営んでいる事業の主たる営業品目かどうかで判断します。
例えば、魚屋であれば主たる営業品目は魚介類や海藻ですから、店頭に並べるサンマ、マグロ、タイ、エビ、タコ、ワカメなどを代金後払いで仕入れた場合には、負債に買掛金を計上します。八百屋であれば野菜の仕入れ、精肉店であれば肉の仕入れを後払いにした場合に買掛金が計上されます。
商品を仕入れて店頭に並べるのではなく、パン屋やレストランなどのように原材料を加工して提供する事業を行っている場合には、完成した製品を製造するために要した原材料の仕入代金が買掛金計上の対象になります。パン屋だと、小麦粉、バター、ラード、ハム、ジャムなどパンの原材料として仕入れたものが買掛金計上の対象です。
例えば、魚屋を営んでいるとしましょう。6月15日にタイを3,000円で仕入れる際、代金を7月31日に銀行振込で支払う条件にしたとします。この場合の会計処理は以下の通りです。
6月15日の会計処理
- (借方)
仕入 3,000円 -
(貸方)
買掛金 3,000円
7月31日の会計処理
- (借方)
買掛金 3,000円 - (貸方)
預金 3,000円
また、パン屋が、8月5日にパンを焼くための原材料として小麦粉を2,000円でスーパーで仕入れ、クレジットカード払いにしたとします。そして、クレジットカード利用額の決済が9月15日に銀行口座から引き落とされたとしましょう。この場合の会計処理は以下の通りです。
8月5日の会計処理
- (借方)
材料仕入 2,000円 -
(貸方)
買掛金 2,000円
9月15日の会計処理
- (借方)
買掛金 2,000円 - (貸方)
預金 2,000円
「材料仕入」は、「材料費」や「仕入」などでも構いません。
また、パン屋が課税事業者だった場合には、上記パン屋の会計処理は以下のようになります。なお、消費税率は10%で計算しています。
8月5日の会計処理
- (借方)
材料仕入 1,819円
仮払消費税 181円 -
(貸方)
買掛金 2,000円
9月15日の会計処理
- (借方)
買掛金 2,000円 - (貸方)
預金 2,000円
このように事業の主たる営業品目の仕入から発生した未支出は全て買掛金になります。
では、未払金に計上すべき未支出はどうなるのでしょうか?
これは、買掛金以外の全ての未支出となります。つまり、借方に「仕入」や「材料仕入」といった主たる営業品目の購入時に使用する勘定科目が記入された時には、必ず貸方には「買掛金」が計上されるので、借方に「仕入」や「材料仕入」といった主たる営業品目の仕入以外の勘定科目が記入された時には貸方に「未払金」が計上されます。
クレジットカードで、文房具などの消耗品を購入した場合、オフィスで使用するデスクやイスなどの備品を購入した場合は未払金です。水道光熱費の支払いも未払金に計上してください。